ビジネス美学

諦めない 何が何でもやり続ける

社会人駆け出しの頃に聞いた松下幸之助さんの「成功するまでやり続ける」という言葉に気付きを得てから、ビジネスではずっと諦めない心を持ち続けています。

思い出せばそれより前に高校時代に出会った野球部監督の新名先生からも影響も受けているように思います。先生は「野球は2アウトからだ」と言っていました。負けている試合で最終回2アウトになれば、普通は勝ちを諦めてしまうでしょう。ところが当時強豪校と言われた高校との試合で、実際に2アウトから逆転勝利したことがあったのです。これをきっかけに、やっぱり勝負は最後まで諦めてはいけないということを身にしみて理解しました。

最初は信じていなくても、諦めなければ良いことがある経験を1回2回と重ねていくと、人間はだんだんと継続する力を信じるようになります。そうするとさらに努力しようという気持ちになり、ポジティブなサイクルが回り始めるのです。また、諦めない人間が増えれば全体がそういうムードになり、組織にも良い影響が出てきます。
「諦めない!」というと悲壮感が漂ってしまいますが、私の諦めないというポリシーは、諦めずに続けていれば必ず「何とかなる」というポジティブさでもあります。 私は過去を振り返らない人間です。失敗した過去は取り返しがつかないからです。それなら「前を向こう」と思います。そんなに難しい考え方ではありません。

当社では研究に10年間近い時間をかけたものの、かつて実現できないと思われた製品があります。当社の成長のきっかけとなった一体型血管留置針『ハッピーキャス』をさらに進化させた血液が洩れない止血弁付き留置針です。止血弁として付けたゴムにどう改良を重ねても血液の洩れや逆流が防げず、さすがの私でも一度冷却期間を置こうということでいったんお蔵入りにしていました。

ところがある日、2人の若い開発技術者が「あれ、出来ましたよ」と言うのです。コロンブスの卵的発想とはこういうことを言うのですね。止血弁のゴムを天然ゴムから合成ゴムに替えたことが大きな決め手でした。かつての試行錯誤の記録でもある開発書に若い技術者が何とはなしに目を留め、新しい発想で不可能から可能への川をやすやすと飛び越えてしまいました。時代がくだって止血弁に使えるほど合成ゴムの品質が良くなったということもありますが、そこまでには諦めずにやり続けた積み重ねがあるからです。

写真5
若い開発者による発想の転換で実現した
止血弁付き安全留置針「スーパーキャス」
 

2001年に製品化されたこの止血弁付き安全留置針『スーパーキャス』は世界初の製品で、現在当社の稼ぎ頭となり国内では、50%に近いシェアを誇る製品に成長しています。当社の諦めない力が実を結んだ一つの成功事例です。

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