業界動向を読み、広い視点を養うためのビジネスメディアを知る

社会的に高い評価を得ているビジネスメディアには、日本経済の今後に向けた非常に重要なメッセージが込められています。このシリーズでは、各メディアの代表者にそのメディアならではのよみどころ、トップアプローチやインタビューの際のキーポイントなどを直接インタビューさせていただきました。

ビジネスメディアインタビュー
株式会社財界研究所
代表取締役
村田博文氏(むらた ひろふみ)

人に焦点を当てて経営を分析する「企業経営は人なり」 株式会社財界研究所 代表取締役 村田博文氏

財界研究所の社長であり『財界』主幹(Editor in chief)である村田社長に、『財界』の特徴や活動および経営者取材の要諦について、直接語っていただきました。

『財界』のよみどころ

企業経営は“人”なり ~

『財界』は、1953年8月に経済評論家である三鬼陽之助によって創刊されました。
1953年といえば、敗戦後の日本が、その前年(1952年)にサンフランシスコ平和条約の発効によって主権を取り戻した時期です。つまり、日本が独立国家として真に戦後復興の道を歩み始めるスタートラインに立った頃に、『財界』は産声を上げました。

日本経済の発展に資するため、
独自コンテンツを展開

私たちは「企業経営は人なり」という視点に立ち、経営者や経済人など社会的影響力の大きい人物の本音インタビューを積極的にとり上げていくことで、独自の経営分析・評論を確立し、展開してきました。
加えて、単なる批判や批評にとどまらず、問題解決を図るためにはどうしたらよいのかを当事者意識を持って読者と共に考え、悩み、そして喜びを分かち合ってきました。

企業経営は「山」「谷」の連続です。戦後復興の高度成長期から80年代後半から90年前半にかけてのバブル期、1997年からのデフレを経て、2000年前後のITバブルなども経験しながら、2008年にはリーマン・ショックという100年に一度と言われる不況も体験しました。今は、アベノミクスの下、デフレ脱却のための成長戦略の成否がカギになっています。
経営者は、「谷」の時にそこからどう這い上がっていくか、「山」の時にそれをいかに持続していけるかが問われます。
経営者としての生き様が問われますし、経営哲学が問われる所以です。
そのため『財界』は、人=経営者に焦点を当てた編集、コンテンツづくりを特徴としています。

『財界』が企画運営する会員組織

財界ビジョン研究会

趣旨 経営の実をあげながら、人間性に基づく経営は実現するにはどうしたらよいかを異業種交流の中で議論する。
グローバル時代に日本はどう行動すればよいのか、尊敬される国家を担う一人として人はどう行動すればよいのかといった人間のあり方にかかわるテーマから、経営の実践の現場において直面する課題まで幅広く取り上げていく。
会員プロフィール 各業種のリーディングカンパニーのトップ中心
開催日程 毎月1回 7時45分より朝食、8時10分より約1時間の勉強会

財界21世紀会

趣旨 経済の発展と引き換えに大事なものを失った日本において経済人はどのように行動するべきかというテーマについて、株式上場企業の経営者や新しい分野で成長している若手経営者同士が、互いに刺激し合い、議論を深めていく。異業種交流の場として喜ばれている。
会員プロフィール 製造業・非製造業・IT業界など幅広い業種のトップ中心
開催日程 毎月1回 8時より(朝食つき)

財界ビジネスクラブ

趣旨 グローバル時代の企業の役割とは何か、そして個人の潜在能力をどう掘り起こしていくか―。幅広い業種の方々の交流を通じて、知的に逞しく活動し、中堅幹部やビジネスマンになるための勉強会。
各専門分野に詳しい講師陣による講演とケーススタディにより問題解決シュミレーションまで行う。
会員プロフィール 企業の広報部、調査部、総務部長/課長中心
開催日程 月1回 11時から約1時間の勉強会、12時より昼食

この会員組織について、ご興味がある方はお問い合わせください

お問い合わせ

アワード・表彰

「財界賞」「経営者賞」

その年の日本経済全体に大きな好影響を与えた経済人に「財界賞」、自らの企業の業績を拡大・発展させた経営者に「経営者賞」を授けたいとの創業者・三鬼陽之助の思いから、創刊と同年の昭和28年度に「財界賞」、昭和30年度に「経営者賞」が創設されました。
「財界賞」「経営者賞」は自分たちの手で新しい時代を切り拓き、イノベーションで世の中に貢献したいというスピリッツを持ち、広く日本経済を牽引した財界人、産業人を独自の視点で表彰してきました。今後も、卓越した経営手腕と同時に、社会に資する倫理観、美意識を兼ね備えた人物を掘り起こしていきます。
毎年1月上旬に、当該年度の受賞者に対する表彰式を開催しています。

左から、ローソンCEOの新浪剛史氏、ANAホールディングス社長の伊東信一郎氏、
トヨタ自動車社長の豊田章男氏、佐藤真海さん、コマツ相談役の坂根正弘氏、
東京海上ホールディングス会長の隅修三氏、東京急行電鉄社長の野本弘文氏、常磐興産会長の斎藤一彦氏
(肩書は、平成26年1月現在)

トップインタビュー・取材の要訣

ファーストアプローチは気力・体力・執着心

日本を代表する企業の経営者へ
積極的にアプローチ

私は1970年に産経新聞社に入社し、新人時代は甲府支局に配属されました。その後、本社社会部を経て、経済部への異動を希望しました。新聞社を就職先に選んだのは、社会問題の解決にあたりたいという気持ちからで、経済部への異動希望を出したのは、社会の基本は富を創る経済にあると考えたからです。
経済部では自分より年長者である経済人に取材することが多く、まずは「産経新聞」のカンバンで会ってもらえるケースがあります。しかし、相手は多忙な経営者ですし、中には独自の哲学を持った人もいますから、なかなか一筋縄でアポイントメントが取れるとはかぎりません。新聞社のカンバンでも会えない人には、夜討ち朝駆けで会いに行き、この記者なら、もう一度会ってもいいなと思われるようにしていかなくてはなりません。それでも駄目な場合は、ありとあらゆるツテをたどって何とか会えるよう工夫していく訳ですが、それはもう気力・体力と、その人に対する執着心、思い入れがすべてといえるでしょう。

評価は他者がするもの

人生における偉大な先人でもある経営者には、「相手の懐にどうしたら入れる」かといった小手先のテクニックは通じません。
取材する者の使命は、「相手の良さを世に伝える」ことです。これが出来れば、自ずと相手はこちらを評価してくれ、会う価値・つき合う価値のある人間だと信用・信頼してくれるようになるのです。今度は、相手が自分の人脈をこちらに紹介してくれるようになれば、さらに信頼関係が深まってきたと言えます。

“新聞記者道”とは

わたしが新聞記者時代、先輩から「新聞記者道」を教えてもらったことがあります。
それは、「新聞“話”者になるな、新聞“記”者になれ」というものです。とかく、私たちは自分の話ばかりをしがちですが、新聞記者の使命は、相手の良いところを伝え、世の中のためになることにあります。それには、記者は徹底的に相手の話をよく聞き、話の本質を掘り起こすことが大事と教えられました。
私は今、雑誌出版社の代表となっていますが、この「新聞記者道」はもちろん雑誌記者にも言えることです。

ネタはハートで

インターネットや雲(クラウド)やメールなど、今は、あらゆる情報を簡単かつ機械的に入手することができるようになりました。そういう簡単で便利に情報のやり取りが出来るようになった現代ですが、いかに読者に印象深く、感動を持って伝えられるかを心がけています。
取材相手とは時に全人格のぶつかり合いにもなります。弊社のメンバーには「取材は、相手とハートとハートのぶつかり合いだ」と伝えています。

企業・経営者に対する評価軸をしっかり持つ

エビデンスとバランス感覚ある評価軸で
真実を追求する

世間で素晴らしいと評価されている企業や経営者でも、よく話を聞いたり調べたりしてみると、実は課題を抱えていたります。逆に、あまり良い評価をされていない企業や経営者にも良いところはあるのです。現実の世界に完全無欠の企業や経営者はいません。
取材においてはバランス感覚を大事にし、問題の本質を常に追い求めるという意味で評価軸をしっかりと持っておくことが重要です。
面白可笑しい話題を提供し、自分のところのメディアが売れれば良いということではもちろんなく、また2倍3倍と事実を誇張して書くことでもありません。それは逆に記事の信頼性を失っていくことなのです。
取材は、時間的制約がある中で、とにかく裏付け(エビデンス)が大事です。
私たちは、当事者はもちろん当事者とは利害が対立する相手やライバル、そして中立の第三者といったすべての関係者から話を聞くことで、「事実・真実は何か」ということを常に追究していきたいと思います。

ビジネスパーソンへのメッセージ

志とアンテナは高く

成果を上げるためには、志を高く持っておく必要があります。同様に、様々な情報がキャッチできるよう常にアンテナは高くしておくことが大事です。

相手には自分の使命感を伝えよう

情報発信が上手い人は、自分の使命感をしっかり相手に伝えることが出来る人です。それが魂のぶつかり合いとなり、相手との信頼関係を強化し、これからの人生やビジネスに深みを増していくことにつながります。

厳しいビジネスの世界で「優しさ」を大切に

経営トップの条件には“強さ”と“優しさ”の両方が求められます。
例えば京セラ名誉会長の稲盛さんは、ご自身が僧籍でいらっしゃることもあり、“強さ”と“優しさ”について卓越した哲学を持っておられます。
組織マネジメントの中で「2・6・2」の法則は良く言われることですが、一般的には、上の2と真ん中の6のうちの上の方を引き上げて、組織の生産性を上げようとしがちです。稲盛さんの場合は、「2・6・2」のすべてを引き上げようとするのです。それは、人を単なる経営資源とはとらえず、働くとは何か、生きることとは何か、経営とは何かといった根本を追究する姿勢から生まれてくる考えだと思います。
物事を見る場合にレッテル貼りや、自分サイドだけからの視点だけではなく、いろいろな人の意見や考え方をも参考にしていく。ビジネスの中でも人としてどう生きるべきかということを常に考える姿勢を大事にして欲しいと思います。

出版書籍紹介(おすすめ本)

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