ビジネスポリシー

「ストレッチの法則」 ~ジャック・ウェルチのポリシーに影響を受ける~

「20世紀最高の経営者」と称される元GE最高経営責任者ジャック・ウエルチ氏
「20世紀最高の経営者」
と称される元GE最高経営責任者
ジャック・ウェルチ氏
社会人になり、日商岩井に行って、MBAに行って、また帰ってきて日商岩井に戻り、さらにGEに入りましたが、GEに入って2年目くらいでアメリカに移り、そこでアメリカのジャック・ウェルチのポリシーにものすごく影響を受けたんですね。私がGEに入ったのが35歳で、初めてウェルチと会ったのも35歳。その時に影響を受けたことが、今のビジネスポリシーあるいはリーダーシップ論とか経営論とかになります。自分の頭がいろんなことを吸収し、自分自身が構成されるのは、社会の中で30歳の前半から40歳の真ん中くらいまでにどういう環境でどういう人たちに巡り合うかで自分自身のポリシーが出来上
がってくるんじゃないかと思います。


その中で一番影響を受けたのが、ジャック・ウェルチであり、彼が言っている言葉が基本的には私の座右の銘になっている。リーダーっていったいどういうことをしなくちゃいけないのか、リーダーの役割は変化を起こすこと、それから人を育てること。人を育てることがなぜ大事かと言うと、社会の環境ってものすごく大きく変わっていて特にこの第4次産業革命の世界って、あっという間に世界が変わっていく、そうやって変わっていく中で、外界の変化に対して自分の変化が遅れてしまうと、もう取り残されてしまう時代になってきている。だから外界の変化よりも早く自分を変えていかなくちゃいけない。外界の変化よりも早く自分の組織も変えていかなくてはいけない。だからその会社は変革していかなくてはいけない。自分も変わっていかなくてはいけない。いわゆる変革を常に起こしていくという、それがリーダーのやるべき姿なんじゃないかなと思います。

ウェルチって3年間で仕事を交代させるんですね。3年間でまったく違ったことをやらせる。
3年間で何をやらなきゃいけないかって言うと、大体、市場とか自分たちが持っている製品とかあるいは競合状態とか全部のお客様を把握するのに半年しかない。そこから3年後に自分たちがどういう風なところに行っていたいかっていうのを決める。そこが今から階段を上がっていけばできる3年間ではなくて、その3倍くらいのところに焦点を置いた自分たちを見据えましょうと。3年後の自分たちの姿を見据えた時に、今の普通の同じやり方で行っては絶対に到達しないので、今までとは違った何らかの方法を、あるいは自分たちのバリアを破った新しい方法を見つけることによって、3倍のところにジャンプしていく。
そのジャンプをするためには一体どうしたらいいのか、そのためには、組織を変え人を変え、この3年間で到達する戦略を立てチームを作る。それができるかできないかでもう1回チャンスがあるかないかが決まる。できなかったら、はい、さよなら。それから次の3年間が
あって、まったく同じプロセスをやり、学び、そしてものすごいストレッチな将来を描きそれに対して戦略を立て、チームを作る。それができると、また次のステップ。そういうのを4・5回繰り返して、初めてGEの上の方に行けるというプロセスなんです。その中であるのは何かと言うと、やっぱり変革のプロセスなんですね。何かと言うと、現状から自分が行けるところ、思っているところの3倍のところに焦点を当てて、そしてそこにどうやって行けるかという戦略を立て、そしてチームを作って実行していくという。こういうプロセスの連続なのです。

これは日本の社会とか米国の社会とかという違いよりも、個人個人が何を目指しているかっていう違いだと思います。ストレッチの感覚は何かって言うと、みんな自分の中で限界を
作ってしまう。例えば、普通はここまでだよねって思った瞬間にここまでしか行けない。自
分の持っている潜在能力のほんの一部さえ使えばそこに行ける。だから3倍くらいのところに設定すると基本的には自分の持っている能力の全部を出し切らないと、という気持ちになる。そして、今まで自分が気づかなかった自分を見つけることが出来る。だから自分の限
界っていうのは自分で作るというのはまさにその通りで、やっぱり無限の能力を持っている
にもかかわらず、どこかで簡単なところに設定してしまうこのプロセスがいけないんじゃないかと思います。

彼のストレッチの法則と言うのは、自分を3倍のところに持っていくというストレッチを常にかけることによって、今までの自分から脱却していく。そのためには強いチームを作らなくてはいけないし、だから人が大事で、だから人を育てる。ウェルチは逆にそういうことをチャンスにして与えてくれるわけです。

例えば、ウェルチが私に最初にチャンスを与えてくれたのはアメリカに行った時で、GEに
入って3年目、38歳とか39歳ですよね。それまで部下を一人も持ったことがない。GEのジャ
パンに入った時も部下は誰もいない。それがいきなりアメリカに来いって言われて、アメリカでチャンスを与えてあげるって言われて、与えられた仕事が、グローバルで技術から製造から営業から全部任されている医療器の一部門のジェネラルマネージャー。部下をまったくもったことがない人がいきなり500人くらいの部下ができ、しかも英語で技術とかセールスとか、お客様はみんなドクターですから。こんな仕事を何で僕に、と最初は思ったのですが、これがウェルチの人の育て方。要するに自分が思っているところの3倍の仕事を与えてくれる。チャレンジの機会を与えてくれる。普通の仕事を与えられたなら普通にやっていれば出来るが、本当に自分が考えてる3倍くらいの仕事を与えられると基本的にはそこまで追いつこうとする自分が出てきて、それこそ、英語の能力とかあるいは対人能力とか技術がわかる能力を、常識を超えたスピードで進んで行くわけですよ。アドレナリン500%くらいの感じでそこまでたどり着く。でも出来るんですよ。じゃあ次は何をやるのかなって思ったら、すごいストレッチのかかったジョブが入ってきて、これで出来なかったら終わりっちゅうことかと。でもやろうと思えば出来るんです。

そういうことでどんどん上がって行き、最終的にはGEでシニア・バイス・プレジデント、その上はチェアマンしかいなく、さすがにチェアマンになれなかったのは、このプロセスが若干35歳という年齢的なスピードでさすがに追いつかなかったことと、もうひとつはアメリカに行ってから身に着けた英語。自分がもう1回やり直すとすれば15歳くらいから英語を学びアメリカの社会に22歳から入って行く。そうしたら絶対TOPにはなれるんじゃないかな。

とにかく自分をストレッチする、そのために自分を変えていかなくちゃいけない。組織を変革していかなくちゃいけない。チームを作ってチームを育てていかなくてはいけない。人を育てていかなくてはいけない。そういうことが僕自身のポリシーとしてずっとやってきたことです。

リーダーとして心がけてきたこと ~ストレッチをする、常に学び努力する、変化を怖がらずにやっていく~

GE時代 ジャック・ウェルチ氏の後任であるジェフ・イメルト氏と
GE時代 ジャック・ウェルチ氏の後任である
ジェフ・イメルト氏と
GEは30万人いるわけですよ。その中で日本人である自分がなぜそのチャンスを与えられたかというと、僕がGEに入った時から、TOPはウェルチ。会う人ごとに「僕はアメリカの中でアメリカ人と戦ってそこで絶対勝っていきたいんだ。だから僕にチャンスをくれ。チャンスをくれれば絶対に勝てるから」って誰にでも言ったんです。自分がそう言っていると、誰かにチャンスを与えてあげようと思った時、みんな優秀な中で誰が頭に浮かぶか?と言ったらそういう風に毎日言ってる人。ひょっとしたら出来るかもしれないですから。

そういうことが出来る人っていうのはまず第一に実力があるという前提があるわけです。
誰を選ぶかって言ったら、そういう自分を出している人。自分を出せるっていうことは、チームに対しても自分を出せる。人を率いるってことは自分がこう考えているからここに行きたい、っていうのを伝えられる力はやっぱり自分を出せる力なので。自分を表現できる、エレベータースピーチや3分間スピーチで自分を出せる人です。

基本的な価値観を持っていることが前提で、ウェルチが我々に要求した価値観というのは、
・常に自分をストレッチしている人
・仕事の中以外の自分を成長させようと、常に学び努力している人
・変化を怖がらずにやっていく人

この3つの要素がなければ絶対に抜きんでることはない。自分達がリーダーとして心がけることはこれらの価値観を大事に持っていなければいけないこと。僕自身、GEの中でアメリカ人と競争しながらも自分の価値観を上手く出していくには、この価値観が根本にありました。

Pocket

Comments are closed