株式会社ディベロップメント 代表取締役
片貝 竜也(かたがい たつや)氏
著者プロフィール1999年半導体製造装置メーカーに入社。全国の半導体メーカーを中心に営業として従事。営業では研究所等も担当し、新規顧客開拓、代理店開拓に加え、お客様の新製品の開発にも携わり、新たな製品を一緒に作り上げた結果、営業で好成績を残す。
人材派遣会社に転職。支店運営後、人材開発支援室の立ち上げを実施。全社の採用・教育に携わると同時に子会社の営業責任者を兼務。企業研修、研修コンテンツ提供、人事制度構築、採用支援などを通して企業の問題解決を実施。研修分野では人材育成、営業、面接官研修など様々な研修を実施しており、リピート率は95%を超える。
執筆のきっかけ
日々、研修をしている中で、似たようなご要望をいただくことがあります。ジャンルは違っていても、根っこのところは共通するところがあるんですね。
数年前から「共通点は一体何だろう」と考えていたのですが、「スキルではない」ということに気が付きました。
「スキル」は表面的なものです。そのため、スキルを活かすには根っこの部分「スタンス」が大きく影響しています。
受講者を見ていると、研修後に活躍する人とそうではない人との違いは、「スタンスを持っているかどうかだ」ということがわかりました。
スタンスをしっかり持っている人は、スキルを活かすことができます。
反対に、どんなにスキルを持っていても、スタンスを持っていなければスキルは活かせないのです。
「スタンス」を意識するようになったきっかけは、新卒で入社した半導体メーカーでの営業先での経験です。
私は生産工場で使用されるワイヤーボンダという機械を販売していました。一般的な営業先は「工場」なのですが、私が担当する営業先は「研究所」でした。
研究所での営業活動では、これまでの営業手法だけでは通用しません。
「いままでこうだったから」と、「いままではこうだったけれど」という2つのパターンが出てくるわけです。
つまり、「スキルだけではうまくいかない」ということを経験しました。
「スタンスを持つ」ということは、仕事で成果を出す上で絶対に必要なことです。
みんなが成果を出しやすくなるために、この「原理原則」を多くの人に伝えたいと思ったのが、執筆のきっかけです。
成功し続ける人は「原理原則」というものを自然と理解し、行動しています。
本書では環境、人間関係、成長戦略、チーム行動、評価、育成のために欠かせない原理原則を50本に絞って、解説しています。
失敗を如何に成功に転化し、成長に結び付けるか。人材育成のプロの著者が、経験と講習を経て修得した独自の理論で構成される一冊。
ベーシックなテーマなので時代の変化に左右されず、壁にぶつかった時に読み直して、自身の思考と行動の指針となる本です。
生い立ち
少年野球での学び ~やり続ければなんとかなる~
幼少期の中心は野球でした。少年野球が1つの転機かもしれません。
月に2回は熱を出すほど体の弱い子供だったのですが、ある日突然、勝手に少年野球チームに入ってきてしまいました。
そのチームは地区の強豪で、例えば10人入ったら5人が辞めて行くほど厳しいチームです。
親にはめちゃくちゃ怒られました。私の体を心配して、「体が壊れるからやめなさい」と反対されましたが、「でも入ってきちゃったから」と言って、チームに入りました。
そして、幸いなことに5年生からずっとレギュラーでいられました。
私はショートだったので、守備を上達させたかったのですが、いつも誰かに練習を付き合ってもらうわけにはいきません。
そこで、ボールを壁に向かって投げ、跳ね返ってきたボールを取るという練習を何度も繰り返しました。さらに守備範囲を広げるために、ボールを斜めから壁に当てて取りに行くなど、工夫しながら練習していました。
そういう練習を繰り返していると、球際のところが上手になってくるんですよね。
最終的にはピンチの場面でも、「飛んで来い!飛んで来たら何とかするぞ」と思えるまでに自信がつきました。
春の市町村大会は、それぞれの地区で優勝したチームが出場できるのですが、6年生の時に、その決勝戦で21対0という大差をつけて優勝することができました。
この少年野球の経験からは、「諦めない」ということや、「やり続ければなんとかなる」ということを学べたと思います。
高校野球 ~突然のピッチャー抜擢~
野球は高校までがっつりやっていました。
高校の野球部では、1年生のゴールデンウィークの練習試合中に、突然ピッチャーを任されました。
それまでピッチャーの経験はありませんでした。慌ててセットポジションなどを教わって登板したのですが、なぜか抑えることができました。
そこから正式にピッチャーになったのですが、猛練習の末、3年生の西東京大会では、1試合の奪三振記録になりました。
急な抜擢の場面でも、物おじせず向き合えたのは、少年野球で鍛えられたおかげだと思っています。目の前に来たものは、必ず自分の為になります。「一つひとつちゃんと向き合って取り組んでいくと、新しい景色が見える」というのは、小学生の頃から思っていることです。
就職について ~新卒入社で半導体企業を選んだ理由~
最終面接で役員と口論に
私は、就職氷河期世代です。就職活動で「30社受けた」「50社受けた」という同級生もいる中、私は3社しか受けずに、その3社とも内定をもらえました。それぞれ違う業界だったのですが、その中から半導体企業に入社を決めた理由は、最終面接でのある出来事が印象に残ったからでした。
最終面接では、10人ほどの役員が並んで座っていました。
「新聞を読んでいて気になった記事は何ですか」という質問に、私は当時インドで行われた核実験について、「アメリカが経済封鎖をするという話になっているが、やはり世界で声を上げるべきは唯一の被爆国である日本だと思う」と意見を述べたところ、突然役員の一人に「日米安保はどうするんだ!」と怒鳴られました。
私は、「質問されたことに答えただけで、日米安保については質問されていないので答えませんでした」と言ったのですが、それでもその役員は「日米安保は!」と顔を真っ赤にして怒り続けていました。今考えると意図的だったのですが、ほとんど喧嘩の状態でした。
「これはダメだな」と思っていたのですが、帰宅するとすぐに電話で「全員一致で内定が決まった。」と言われました。驚きましたが、その様に評価してもらえるなら、この会社に入ろうと決めました。
売上アップの秘策 ~取ってから考える~
人材派遣会社への転職
半導体企業での成績は良かったのですが、このままじゃ面白くないなと思って、人材派遣の会社に転職しました。転職して1週間もしないうちに町田の支店を任されたのですが、何から始めればいいのかさえ、わからない状態でした。
まず、私が出来る営業活動から取り組んだところ、お客様からの依頼を多く受け過ぎてしまい、登録している人数より依頼が多いという事態になってしまいました。何とかしなければと、社員を動員するなどして対処しました。駅で「明日仕事しませんか」とスタッフ集めをして、警察に追いかけられたこともありました。“キャッチ”と間違えられたんですね(笑)。
ファストフード店で学んだこと ~整えるのは先じゃない~
「取ってから考える」というのは、学生時代のアルバイトの経験が基になっています。
ファストフード店でアルバイトをしていたのですが、立川にあるその店舗の売上は全国1位でした。
そこの店長が、「とにかく注文を受け付ければ、中は回るんだ」と言っていたんですね。
「取るのが先で、整えるのは先じゃない。取ってからやれ。」と徹底して言われました。
たしかに、目の前に来てしまったらやるしかないので、やる方法を考えますよね。
それからは、「取ってから考えればいいから、とにかくまずは取ろう!」と考えるようになり、そのスタイルで売りを作っていきました。
さらに、効率よく売上を伸ばす方法は、お店を外から見るとわかります。
お客さんはどういう時に入って、どういう時に入らないのか、というパターンが見えてくるんですね。
そのお店の場合、レジに誰も並んでいない時には、お客さんは入るのを躊躇することがわかりました。
レジで1人が注文していて、もう1人が並んでいる時には、お客さんは入ってきます。
並んでいる人が2人になっても、お客さんは入ってくるのですが、3人になると「混んでいる」と思われて入ってこないというパターンでした。
つまり、レジの開け閉めで、並んでいる人を常に1人か2人の状態にできれば、効率よく売り上げを伸ばせるということです。
その結果、その店舗は年間4億円を売り上げていました。私はバイトリーダーを任され、最終的には「社員にならないか。お前なら台湾支社の社長になれる」と言われました(笑)。
勉強になった経験のひとつです。
ビジネスポリシー ~リピート率95%以上の研修の魅力~
「もう一度受けたい」と思わせる研修の作り方
まずは、「受けて良かったな」と思ってもらえる研修を作ることです。
ただし、「受けて良かったな」と思う研修と、「もう一度受けたいな」と思う研修は、ちょっと違います。
研修って「教育事業+エンターテインメント」なんですよね。
実は、楽しくないと学ぶ効率も良くないんです。
ここで言う「楽しさ、面白さ」というのは、「知的エンターテインメント」のことです。
「もう一度受けたいな」と思う研修とは、「これって何だろう」とか、「なるほど、そういうことか!」という好奇心をくすぐる内容がいかに盛り込まれているか、が重要になると考えています。
また、研修講師は“ティーチャー”ではなく、“ファシリテーター”です。
当社の講師には「主役は受講生である」と徹底して伝えています。主役が講師になる研修では、高い評価はいただけないですね。
ビジネスパーソンへのアドバイス
いま置かれている環境で、自分に何ができるか考えること
最近、20~30代の方と接していて「もったいないな」と感じるのは、「できない理由を環境のせいにしてしまうこと」ですね。
素晴らしいスキルを持っているのにうまく活かせていない人は、「これがないからできません」、「あの人がやらないからできません」などと、周りや環境のせいにして自分の非を認めないことが多いです。さらにそれを、「他人のせいだ」と論破していく傾向さえ見受けられ、すごくもったいないと感じます。
「成果を出す」という観点に立って考えると、「他人が動いてくれれば成果を出せます」と言っていることになり、要するに、「他人任せの成果」になってしまいます。
他人任せでは、継続して成果を出せる可能性は低くなりますよね。
自分が置かれている環境の中で、何ができるかをしっかり考え、自分の行動を成果に繋げていくことが重要だと思います。
また、最近は「論破すること」が流行っていますが、仕事上で論破しても何も良いことはありません。
仕事って、ひとりでできるものではなく、周りの人の協力が必要なので。
そして、人は相手に強要されることを嫌います。自分が選択して動きたいものなので。
論破や説得で相手を従わせるのではなく、相手に納得して動いてもらうために自分がどう動けるか、自分の行動で相手にどう影響を与えるか、が大切です。
将来の夢
人の成長を通じて、日本経済を支えたい
名刺にも書いてあるのですが、私が自分の会社でやりたいことは、「人を育む、企業を育む」ということです。
人の成長を通じて、企業の発展を実現していただくこと。微力かもしれませんが、それが先々の日本の経済力のベースになるような事業にできたらいいな、と思っています。
社会人になると、学べる場が少ないと感じる方も多いと思うので、「学びってこういうことなんだ」と理解していただける機会を提供できる会社にしたいと思っています。
プロフィール詳細
プロフィール | 生年月日 | 1976(昭和51)年6月21日 |
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出身地 | 東京都 | |
生活リズム | 平均起床時刻 | 7:30 |
平均就寝時刻 | 25:00 | |
平均睡眠時間 | 6.5時間 | |
平均出社時刻 | 8:45 | |
平均退社時刻 | 20:00 | 自己流 | ゲン担ぎ | 毎日感謝を伝える |
集中法 | 気温を下げて集中 | |
リラックス法 | 寝る | |
健康法 | 運動をする | |
休日の過ごし方 | 家族で出かける | |
座右の銘 | (座右の銘というか好きな言葉です) 為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり (こちらの言葉の方がしっくりきます) できるできないではなくどうやるかを考える |
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好み | 趣味 | 野球観戦 |
好きな食べ物 | 酢の物 | |
好きなお酒 | ウイスキー、ジン、日本酒 | |
お薦め | 愛読書 | 人を動かす |
ビジネスパーソンに薦めたい本 | 7つの習慣 |