誰も教えてくれなかった運とツキの法則
株式会社クレディセゾン 代表取締役社長
林野 宏 氏

誰も教えてくれなかった運とツキの法則|株式会社クレディセゾン 代表取締役社長 林野宏氏

株式会社クレディセゾン 代表取締役社長 
林野 宏(りんの ひろし)氏

株式会社クレディセゾン 代表取締役社長 林野宏氏
株式会社クレディセゾン 代表取締役社長 林野宏氏

著者プロフィール

昭和17年京都府生まれ。埼玉大学文理学部卒業後、西武百貨店入社。
人事部、企画室、営業企画室を経て、同百貨店宇都宮店次長。
1982年西武クレジット(現・クレディセゾン)に、クレジット本部営業企画部長として転籍し、2000年より現職。
ポイントに有効期限のない「永久不滅ポイント」のサービスや「スピード発行」「サインレス」など、自由な発想と戦略でクレディセゾンを成長させ、2002年にクレジットガード業界のトップへと押し上げた。

執筆の動機

若い人たちへ夢中になることの魅力を伝えたい

親善野球大会in東京ドーム
親善野球大会in東京ドーム

今、日本はこれまでにない閉塞感にとらわれている。運とツキの法則からすれば、日本は運を使い過ぎ、これまでの成功の代償を払わなければならない状況になっているといえる。
大学生は就職に悩み、若者は会社組織の中で面白くないと不満を感じ、初任給もこの20年ほとんど変わらず、非婚化、少子高齢化が進み、無縁社会とまで言われている。しかし、海外に目を向けてみよう。どれほど日本が恵まれた環境にあるのか、日本人は認識できていない。
不平不満、不安の原因は、日本のビジネスパーソンが仕事に夢中になっていないからだ。好きな野球チームの試合にはお金を払って観戦し、夢中になって応援するのに、なぜ仕事はお金(給料)をもらっているのに夢中になれないのか。
人は世の中に“運”と“ツキ”があることは知っていても、そこに法則のあることまでは知らない。この法則を知り、それを上手く利用すればもっと人生やビジネスは楽しくなる。夢中になれば、運とツキを引き寄せられる。
これからの日本は、これまでの成功体験を捨て、本当の意味での、リ・ストラクチャーリングが必要である。既存構造を脱し、国家も企業も新しいものを創っていく必要がある。そのためには、このような閉塞感の中でも“へこたれない”“あきらめない”ことが重要だ。人生とビジネスの年長者であり経営者の立場としては、この閉塞感を打破するための“生き筋”を示す必要があると考えている。
運とツキの法則は、若い人が未来を切り開くための勇気を与えるメッセージである。

「サインレス」「永久不滅ポイント」「セゾン・アメリカン・エキスプレス・カード」など、カード業界でイノベーションを続けるクレディセゾン社長林野宏が語る。 あなたは信じますか?会社も人生も変えられることを。
熊本日日新聞(2011.6.19 Sun)「武田双雲が読む」に取り上げられました。(記事を読む)

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生い立ち

生い立ち

自立を促したオープンでフランクな家庭環境

昭和17年京都の山科で生まれ、幼いときに転居して埼玉の浦和育ち。
国鉄勤務の父は関門トンネルの掘削に携わる技術者で家を空けることも多く、母は小学校3年生の時に心臓病で亡くしている。自身は6人兄弟の3番目だが、歳の離れた長兄は小学生の時に肺炎で亡くなっている。
本来なら母と長男を失った不幸に家庭は沈んでしまうところだが、京都の雅、遊びの気質が流れる家庭で、幼いときから家族でトランプ・将棋・碁・花札などを楽しんだ。
しかも、トランプならポーカー、ツーテンジャック、花札なら八八など本格的なルールで大人と一緒になり、どうやったら勝てるのか(勝つための技術や勝ち方)を本気で考えるくせが自然とついた。
子供のころから何をするにも賭け事をする環境で育ったことは、一般家庭に比べると少しは特殊だが、実はこの時のゲームに勝ちたい強い思いと、ではどうしたら勝てるのかと常に考えるくせが、自立を促したといえる。
相手に勝つ戦略を考えるということは、まさに相手の裏を読むということである。読むためには、ファクト(事実)からファインディング(なぜそうなっているのか)を見出す必要があるのだが、これには感性が重要である。この感性は「気づく力」であり、芸術や自然に触れたり、少し難しい本を読んだり、なにごとにも好奇心を持ったりすることで磨かれる。頭を使って自分で解を出すこと(クリエイティビティ)には、まさにこの感性が重要であり、感度を高めるには“自由”が保障されていることが大事である。
日常から賭け事を楽しむ自由な環境で、自分の頭を使って、大人や強い相手に勝つ戦略を考えるくせは、思考の自立を促した大きな要因になった。

和の美学と洋楽の融合で“遊び”に情熱を注いだ学生時代

埼玉大地理学研究会の仲間と登山
埼玉大地理学研究会の仲間と登山

洋楽と野球(それも大リーグ)好きだった兄の影響もあり、幼い頃から興味を持つようになった。中学時代には初めて見たアメリカのプレスリーの音楽映像に大きな衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えている。また、高校時代にはイギリスのビートルズが鮮烈デビューし瞬く間に一世を風靡、ともに青春を謳歌した。
こうして学生時代を振り返ってみると、生まれた京都の雅、和の美学“遊び”の気質と、多くの国から多様な音楽が入ってくる既にグローバルな文化が融合した中で育った。現在の基盤となる独自の感性はこの時代に培われてのではないかと思う。また当時はFM横浜のヒットパレードを聞きながら、将来はディスクジョッキーか、レコード会社のディレクターになりたいと考えていた。
大学は浦和の自宅から通えるという理由で埼玉大学へ入学。地理を専攻したが、安保闘争で授業が休講になることが多かったため、友達と麻雀をしたり、文化と遊びに情熱を注いだ学生時代だった。
ただし、学業は高校までは“学習”だが、大学は“学問” (知識を創り出す)するところだと強く自己認識していた。そのため大学に入ってからは、フィールドワークを通して新しい地理上の事実認識や発見、そもそも地理学とは何か、といった根本的なテーマに自問自答し、その答えを導き出そうと真剣に取り組んだ。

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ビジネス美学

ビジネス美学

目指すは社長

世界で一番好きな街、ウズベキスタンのサマルカンド。隣は市長。
世界で一番好きな街、ウズベキスタンの
サマルカンド。隣は市長。

父親の影響で、子供のころから株式(相場)にも馴染んでいたため、就職するならビジネスにおいてすぐ結果の出る証券会社の入社を希望していた。しかし、当時は証券不況で採用の門戸は閉ざされていたため、自宅からも近くて学部指定なしの西武百貨店に入社することになった。
新卒で最初に配属された人事部では、その仕事のひとつであった経営会議の準備の中で、新入社員である私が堤清二さんの発言を直接聞く機会に恵まれた。当時の私の考えでは、相撲の世界に入ったら横綱を目指すように、会社に入ったら社長を目指すのが当然だった。しかし、オーナー企業でしかも若くて素晴らしい堤さんを超えて社長になるにはどうしたらいいのかを、懸命に考えたものだった。
そこで、たまたま秘書課に配属になっていた同期に聞いてみると、非の打ちどころのない堤さんだが、ファイナンスやシステムの分野は少々苦手とのこと。これを自分の得意分野にし、堤さんと勝負すれば、もしかしたら勝てるチャンスがあるのではと本気で考えた。相手が社長でも、不得手な分野は自分が力をつければ任せてくれるはず。その後、この戦略を着実に実践し、実績を積んできたところで、自らカードビジネスを提案したことがきっかけで、現在の自分がいる。
誰が何と言おうと自分の思いを信じ、やってみる、そしてやり続けることが重要なのだ。

ビジネスポリシー・・・イノベーション

記憶に残るCM永久不滅ポイント
記憶に残るCM永久不滅ポイント

タブーやルールは世の中と一緒に変わっていくものである。その時期が早いか遅いかの違いだけである。
セゾンカードで永久不滅ポイント、スピード発行、サインレスのサービスなど、新しいことを始めた時は、何をするにしても横やりはつきものだ。
それが既成概念思考の人達にはありえない発想でも、常に顧客目線を重視し、自らリスクテイクすれば、必ずマーケットやサービスは立ち上がる。常識外れだと思われたこれらのサービスでも、今では立派に世の中の当たり前になっている。
常にお客様の立場で、ちょっと先を見て、そこから見えてきたアイデアやサービスに対し、保守的な考え方を打ち破り、敢えてこれまで人のやらないこと、やってないこと、まさにこうしたイノベーションを起こしていかなければ、これから企業は生き残っていけない。麻雀もゴルフも決められたルールで遊ぶよりも、どんなルールで競争したら面白いかを考える。ビジネスも同じ。決められたルールの中で競争し続けるのではなく、お客様第一に考えたらどういうルールの中でビジネスをしたら喜ばれるのかを考えことが重要である。
自分のことばかりを考えていると、バチが当たる。お客様の支持を受けるためにイノベーションを起こすことで、運が回ってくることになるのだ。
経営環境が変わったときには、過去の成功体験などはいらない。イノベーションの阻害要因になるだけである。そんなものはアルバムに貼ってセピア色にしておけばよいのだ。

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将来の夢

将来の夢

未来のビジネスモデル作り・柔らかい空間に複数の企業体がコラボ

企業の魅力は、成長力と収益力の継続にある。イノベーションを起こすという意味でも、ビジネスフィールドを広げ、カード事業に拘らない脱カード会社を目指している。
現在力を入れているネットモールビジネスでは、先進企業に対してもよい位置につけるところまできている。これからはこれをもっと進化させ、第4次産業の代表ともいうべきサービス先端企業を目指したい。
コンセプトとしては、サイバー空間&リアルで、ビジネスにタブーを作らず、緩く柔らかい空間の中に多くに企業体とコラボレートしてビジネスを創っていきたいと考えている。不確定な時代だから未来は予測できないが、変化の先端で変化をビジネスに取り込んでいく、アメーバのようなビジネスモデルを描いている。

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語録

語録

林野語録「これからのビジネスリーダー“プラチナカラー”」

機械による自動化によって、単純労働力としてのブルーカラーの需要低下が言われて久しいが、これからはホワイトカラーにも同様な状況が訪れる。単純なデータ収集や集計といった業務は、いまやコンピュータ機能の高度化やインターネットの普及などによって、大量かつ瞬時に処理できるようになっている。
これからの知識労働者は、単なる“データ”収集といった処理業務から脱し、意味ある“情報”の取捨選択と、そこから見えてくる本質的な事実を突き詰め追求すること(ファクトファインディング)に価値がおかれる。これからのビジネスリーダーは、自分の頭を使って徹底的にものを考え、クリエイティビティでビジネスの解を導く“プラチナカラー”が求められるようなる。

■取材チームからの一言

プロモーション代表 菅原と
プロモーション代表 菅原と

ビジネスの本質をつく話の端々に、洋楽のタイトル、バイリンガルDJや往年の大リーガーの名前、広い交友関係などの固有名詞が次々と飛び出す。まさに「感性の人」という表現がぴったりで、遊び心(粋人)とイノベーター(勝負師)の両面がくるくると見え隠れし、軽妙な語り口の中に要所要所で感性鋭く光る言葉が印象的。文化とビジネスを楽しみ、運とツキを呼び込めば、人生も仕事もまだまだ大きな可能性が秘められれているとワクワクするようなポジティブな気持ちが湧いてきた。

プロフィール詳細

プロフィール 生年月日 1942年8月5日
出身地 京都府
血液型 AB型
生活リズム 平均起床時刻 6時
平均就寝時刻 23時
平均睡眠時間 6時間
平均出社時刻 8時15分
平均退社時刻 17時20分
自己流 ゲン担ぎ ツキの流れを考える
集中法 何時でも何処でも
リラックス法 落語、麻雀
健康法 ラジオ体操、ゴルフ
休日の過ごし方 週1ゴルフ、マッサージ
座右の銘 イノベーション
好み 趣味 植物育成&観賞、音楽、読書、落語、麻雀、ゴルフ
※好きな洋楽
No.1 LET IT BE ME(EVERY BROTHERS)
No.2 A ROCKI’N GOOD WAY(BROOK BENTON & DINAH W.)
No.3 MR.BLUE(FLEETWOODS)
→TOP30を見る
好きなブランド アルマーニ、ダンヒル
好きな食べ物 適切な価格で美味なもの
好きなお酒 ブランデー(嗜む程度)
好きなエリア 京都、谷中界隈、赤城
好きな色 黄色、ロイヤルブルー
Voice 秘書(社員)から一言 仕事と遊びが大好きでバイタリティに溢れいつもパワフルな社長ですが、多趣味な社長のお陰で私も”落語”や”洋楽”が好きになりました!!

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オススメの本

愛読書

物理学はいかに創られたか (岩波新書) 

アインシュタイン (著), インフェルト (著), 石原 純 (翻訳)


ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)

ダライラマ (著), The Dalai Lama of Tibet (原著), 山際 素男 (翻訳)


創造と伝統―人間の深奥と民主主義の根元を探る

川喜田 二郎 (著)


マネジメント[エッセンシャル版]
– 基本と原則

ピーター・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)


組織の盛衰
―何が企業の命運を決めるのか (PHP文庫)

堺屋 太一 (著)


豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)

三島 由紀夫 (著)

愛読書は数えきれない。ビジネスパーソンにお勧めしたい本は、ピーター・ドラッガー、ジャック・ウェルチ、アルベルト・アインシュタイン。

よく行くお店

牛舌の店 多津よし(牛タン)


鮨かじわら(旧 鮨処けい)

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