ビジネス数学の第一人者が教える 史上最高にわかりやすい説明術
BMコンサルティング株式会社 代表取締役
ビジネス数学教育家
深沢 真太郎 氏

BMコンサルティング株式会社代表取締役
ビジネス数学教育家 
深沢 真太郎 氏

BMコンサルティング株式会社 代表取締役
ビジネス数学教育家
深沢 真太郎(ふかさわ しんたろう)氏

BMコンサルティング株式会社 代表取締役 ビジネス数学教育家 深沢 真太郎 氏
BMコンサルティング株式会社 代表取締役 ビジネス数学教育家 深沢 真太郎 氏

著者プロフィール

1975年、神奈川県生まれ。
日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。
国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者。予備校講師から外資系企業の管理職などを経て研修講師として独立。独特な指導法で数字や論理思考に苦手意識を持つビジネスパーソンの思考とコミュニケーションを劇的に変える。
大手企業をはじめプロ野球球団やトップアスリートの教育研修まで幅広く登壇。2018年に国内唯一の「ビジネス数学エグゼクティブインストラクター」に就任。
一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事

執筆のきっかけ

教育者として「物事を説明する」はどういうことかを説明する

私は、ビジネス数学教育家として教育活動をしている専門家です。
本業としては、企業で研修をしたり、セミナーを開いたり、本を書いて「ビジネス数学教育の重要性」と広めています。
その中で、「自分の活動の本質って何だろう」と自分に問いかけるわけです。よく考えてみると「人前でプレゼンテーションする」「本を書く」など、それぞれにシーンは違えど、共通するのは「何かを説明している」ということ。つまり、私のしていることは「説明する」という行為がウエイトを大きく占めていることに気が付きました。

この活動を10年続ける中で、それなりに評価もされ、継続して仕事の依頼もいただいています。その証として、「そもそも“説明する”とは、どういうことをすれば良いのか」を体系立て、まさに「説明を説明する」ようなものを書きたいと思いました。

きちんと説明する必要性は理解しているけれど、具体的な方法が分からない人、上司に「もっとわかりやすく説明しろ」と言われ、どうしたらいいか聞いたら「そんなことは自分で考えろ」と言われた人などに役立つのではと思ったのが出発点です。

私は「ビジネス数学」の専門家ですが、数学者やデータサイエンティストや実務家でもなく、教育者として「説明する」技術についてお伝えしたいというのが、今回の執筆への想いです。

「何を言いたいのか分からない」「言っている意味が分からない」と言われた経験があると答えた社会人は、全体の6割以上。
これからは「話す力」や「伝える力」ではなく、「説明する力」を鍛えることが重要なのです。
そのために必要となる要素はたった2つのみ。
この本を読んだあなたは、もう説明の本を読む必要はないでしょう。

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生い立ち

生い立ち

~「数字」の魅力にハマる~

電車の時刻表

小学校の頃から電車の時刻表を眺めるのが好きでした。
「これから福岡に行くとしたら、東京から一番近いルートはどこだろう」「何時に出たら何時頃着くんだろう」「帰りは別ルートにすると、どうなるだろう」と、電車の時刻表を使ってよく空想の旅をしていました。そうすると、地図や時刻表を見て足し算、引き算を始めるんです。ただそれだけのことがとても楽しくて、擦り切れるほど時刻表をめくっては眺めるのが癖でした。

そんなところから、算数や数学など数字を扱うことと相性が良いと気づき、のめり込んでいきました。学生のときは数学の勉強しかしなかったような気がします。その代わり、歴史の時間は大嫌いでした。歴史の教科書を開いて立てたこちら側で数学の教科書を広げていました。
大学も数学科に進み、やはり数学を追究することは面白いと思いました。大学院も数学で修士を取り、卒業後は予備校の講師になりました。

社会人経験から得たもの

~予備校講師の違和感~

予備校の講師はつまらなくて半年ほどで辞めました。生徒の偏差値を上げて大学に合格させることが目的である予備校のビジネスは、私には向いていなかったようです。
もっと「数学の本質」というか、「何のために数学を勉強するのか」とか、そういう根本的なことに触れる授業がしたかったのです。例えば、微分積分の問題の解き方を教えるのではなく、微分積分を理解した先の人生にはどんな良いことがあるのかということを教えたかった。塾や予備校の講師になってはいけない人でしたね(笑)。完全に間違えている。研究者であり、教育者ですね、私の血は。
格好良く半年で辞めたと言っていますが、ある種の挫折です。ですから、次はゼロからスタートせざるを得ませんでした。

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いきなりの180度キャリアチェンジ

~180度のキャリアチェンジ、アパレル業界に転職した思惑とは~

アパレルショップイメージ

何を間違えたか、サラリーマンになろうと考えてアパレル業界に飛び込みました。
かつて表参道沿いに某外資系ブランドの大きな旗艦店があり、そこのオープニングスタッフになりました。最初はお店で販売スタッフとして店頭にも立っていたんですよ。
これまで数学の勉強しかしてこなかった人間が、アパレルショップで「いらっしゃいませ~」「ありがとうございました!」「お似合いですねえ」って言っているという、ちょっと不思議な現実を味わいました。

でも、実はちょっとした計算や狙いがあって、あえて全く違う世界に行ってみたというのも本当です。
ファッションやデザインの世界の人たちは感性は良いかもしれないけれど、ロジックや数値はちょっと苦手な人が多いのではないかと思ったのです。
実際に飛び込んでみると、やはり「君はなんでここに来たの?」と言われました。変わり種の私に興味を持ち、「ちなみに、君は数字は得意なの?」「数字を使ったこういう仕事はできる?」と色々質問されたりしました。わざと「出来るかもしれません、、、」なんて答えると、「じゃあ、ちょっとやってみてよ。みんなこういうの苦手なんだよ。」なんて言われて、少しやってみただけで喜ばれるんですね。
頼まれた仕事は、私にとっては簡単なことでした。きちんとデータを計測して「この時間帯はお客さんが増えるから、スタッフを多めに配置した方が良いですよ」とかそんなレベルです。
当時のお店ではデータを活用するという発想が無かったので、珍しがられるのと同時に重宝されるはずだと思ったのです。
データ分析の実績を評価されて、ショップだけでなくECのマネージャーを任せてもらうなど、どんどん新しいチャレンジを用意してもらいました。

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「ビジネス数学」が目指すこと

~12年の会社員経験から生み出された「ビジネス数学」~

ビジネス数学の指導イメージ

その後、転職もしながら12年ほど会社員を経験しました。
ですから、ビジネスパーソンの気持ちや悩み、痒い所は良く分かります。
そこで私が次に考えたのは、ビジネスパーソンが数字を活用できるようになる教育です。これまでの「ビジネス経験」と、もともとの適性である「数学教育」を組み合わせたら、「ビジネス数学教育」というコンセプトができると考えました。

それまで「ビジネス数学教育」というものは、世の中に存在しませんでした。
学校ではいわゆる教科書を使った授業と受験指導だけしかしません。社会人になると今度は教育の専門家でない会計士や税理士、経営コンサルタントなどが「数字」の指導をしています。彼らが指導している内容は間違ってはいませんが、なかなかビジネスパーソンの血肉になるほど奥にまでは入っていかないと感じていました。

そこで私は、数字が苦手なビジネスパーソンの扉をちょっと開けてあげる人になろうと思いました。学校での数学とは違うということから、ネーミングは「ビジネス数学」。10年前にスタートしました。
私の活動は、非常にニッチで個性的なものだと思います。当然世の中には、優秀な数学の先生や学者は大勢いるし、データサイエンティストも沢山います。でもビジネス数学をどう指導するかというところに特化しているのは、私が唯一だと思っています。

「ビジネス数学」が目指すこと

~「数字に強い」とは~

例えば、暗算がとても速い人は数字に強い人でしょうか。何か違います。円周率100桁まで言える人が数字に強い人しょうか。これも全然違う。では理系人材を集めた組織は、数字に強いと言って良いでしょうか。やはり違う気がする。

私の定義では、「数字に強い」というのは「数字を使って説明できる人」です。
日常のビジネスシーンから数字を使ってコミュニケーションしている人が、数字に強い人材や組織ということです。

例を挙げると、ある人が「忙しいからアシスタントを1人つけて欲しい」と思ったとします。
数字に強い人は、「アシスタントを1人つけてください。なぜなら、今抱えている仕事は大きく3つあります。それぞれのコストとインパクトは、大体これぐらいです。そのうち一番大きいこの部分にアシスタントをつけると約〇%の効率改善になります。約〇%の改善ということは、時間換算でおおよそこの程度の短縮になり、コストに換算するとこれくらいです。一方、アシスタントの人件費はこのくらいですから、トータルで十分ペイができます。つまり、会社にとって経済合理性があると判断できます。ですから、アシスタントを1人お願いしますね。」と説明できる。これが数字に強い人ではないでしょうか。
一方、数字に強くない人は、「とにかく忙しくて回らないので、アシスタントつけてくださーい!」と叫ぶだけです。

私は、ビジネスの中で数字を駆使できるかどうかが成果の違い、ひいては組織の良し悪しにつながるのではないのかと考えています。ですから、「学生時代にどれだけ勉強したのか」「どれだけ数字に触れたか」「理系か文系か」ということではなく、「コミュニケーションの中で自然と数字が出てくる」というのがビジネス数学であるということです。

私がいつも伝えているのは、数字で語れることがゴールということです。ビジネスパーソンの皆さんには、とにかく数字を使って話してくださいと繰り返しています。
ところが、人材育成に携わる人たちは数字で説明するというゴールを設定せずに、最初から「財務諸表の読み方」とか「データ分析研修」をやって終わってしまいます。

数字で語ることを、私の造語で「数会話(すうかいわ)」と呼んでいます。
「今日からここは数会話が出来る組織に変わりましょう!」と号令をかけ、数会話をしなければならないというマインドになると、人は頭の中で数字を探し出す必要に駆られます。そこまで来て初めて「データを見ましょう」とか「〇〇分析を学びましょう」という話になるはずです。従来の研修メニューは、本来数字を扱うことの目的意識や自然な感覚が入ってきてから学ぶ内容なのです。

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ビジネスパーソンへのアドバイス

ビジネスパーソンへのアドバイス

~数字・データと仲良くなろう~

ビジネスパーソンへのアドバイス

今、世の中では「これからはDXだ!」と喧しいですが、決して難しい話はありません。
DXというのは簡単に言うと「デジタル技術をきちんと使って変革していきましょう」ということだと思います。デジタル技術を使うので、当然ながら仕事でも様々なデータを入手できるようになります。ですから、きちんとデータを扱えるようになりましょう、というのが今言われていることだと理解しています。

今は「DX」が流行りですが、思い出してみると「ビッグデータ」と言っていた時代もありました。どこもかしこも「ビッグデータだぞ、今は!」「うちの会社も何かしないといけないんじゃないか?」という時代がありました。
その後は「統計学ブーム」も来ましたね。「統計学を勉強しなきゃダメだよ」と言われ、セミナーや書籍を求めてみたけれど、多くの皆さんが途中で挫折しています。
その後は、「FACT FULNESS(ファクトフルネス)」というベストセラーもありました。あの本は、「思い込みはダメです。きちんとファクト(事実)を確かめてから、仕事をしましょう。世の中を見ましょう。」と言っているわけですよね。

何が言いたいかというと、それぞれの時代で流行り言葉は違いますが、全て本質的には「きちんとデータを確かめて仕事しましょう、生きましょう」と言っているということです。
ですから、これからも次々と新しいキーワードが生まれて、同じことが言い続けられると思います。これだけ長い間、様々なワードによって言われ続けているわけですから、今後も間違いなくデータが必要であり続けることは確かです。

ビジネスパーソンである以上、数字やデータから逃げないで、向き合って仲良くなっていただきたいと思います。
「勉強してください」ではありません。「仲良くなってください」です。データと今よりもちょっとだけ仲良くなってください。
「勉強しなさい」と言っても首を縦に振らないビジネスパーソンでも、「距離を少しだけ縮めてください」と言うと、少し興味を持ってくださるようで、「具体的にどうしたらいいですか?」という質問をいただきます。同じことを言っているのに、人間って面白いものですね。ですから、数字やデータとは「仲良くなる」という感覚でいってみましょう。

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ビジネスポリシー

ビジネスポリシー

~「下に降りていくこと」~

教育者としての信念

これは教育者としての信念です。
教育者や指導者たちは、優秀で頭が良いから大体ピラミッドの上の方にいることが多いのです。そして、ピラミッドの上の方にいる人たちは、下の方にいる人たちの気持ちが分からなかったりします。

また、下の方の人たちは、数字に対して難しい、嫌だといったイメージを持っています。そこで、ピラミッドの上にいる人たちから上から目線でものを言われたら、余計に嫌いになってしまいます。そうすると、「いいよ、そんなの。得意な人がやればいいじゃない」というふうになる。これは社会にとって不幸なことです。
ですから、ピラミッドの上にいる人たちほど下の方まで降りてくる必要があります。同じ目線で寄り添い、優しく接して、易しく伝え、導くことがとても大事です。

ビジネス数学教育者を続けてきた私と、似たような能力を持っている他の専門家たちとの違いがあるとすればそれはたったひとつ。「ピラミッドの上から降りてこられる」ことだけだと思っています。だから、この本にも「愛」という言葉が出てきます。今日、この本にサインした「優しくあれ」というののもそういうことです。

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将来の夢

将来の夢

~私の要らない世界に

将来の夢

日本の全ての学校と企業に、少なくとも1人ずつビジネス数学の指導者がいることが私の夢です。死ぬまでに実現させたいことです。もう1回言いますね。「日本の全ての学校と企業に私と同じようなインストラクターが1人ずつでいいから、存在すること」。
なぜかというと、そうなったら私の仕事は存在しなくなるからです。私は要らなくなった方が良いと思っています。

究極の問題解決は、問題を解決しなければならない人が不要になることだと思います。ですから、私のビジネスのゴールは私の仕事が無くなることです。
そのためには、私がセミナーや研修を指導するのではなく、企業の中に教える人がいる状態にする必要があります。ですから、3年前からビジネス数学を指導できる「ビジネス数学インストラクター」という指導者の養成を始めました。
私が人生を終えるときには、私のいらない世の中になっていたらいいですね。

プロフィール詳細

プロフィール 生年月日 1975年9月22日
出身地 神奈川県
血液型 A型
生活リズム 平均起床時刻 7:00
平均就寝時刻 12:00(0:00)
平均睡眠時間 7時間
自己流 ゲン担ぎ ネクタイの色
アクセサリー
集中法 あえてホテルの部屋で仕事をする
リラックス法 Jazzを聴く
健康法 野菜中心の食事
休日の過ごし方 読書、ショッピング等
座右の銘 多くの言葉で少しを語るのではなく、少ない言葉で多くを語る
好み 趣味 腕時計
好きなブランド 無印良品
好きな食べ物 麻婆豆腐
好きなお酒 ワイン
好きなエリア 青山、神楽坂
好きな色 白、黒、赤
お薦め 愛読書 列車の時刻表
ビジネスパーソンに薦めたい本 ファクトフルネス(日経BP)

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