株式会社タニタ 代表取締役社長 谷田 千里氏

著者インタビュー タニタの働き方革命
株式会社タニタ 代表取締役社長
谷田 千里(たにだ せんり)氏

執筆のきっかけ

~心身の健康づくりを目指して~

一つは『危機感』です。今年の4月から「働き方改革関連法」が施行され、罰則つきの残業規制がスタートしました。「働き方改革」=残業削減と捉えられがちですが、私は残業時間のみにフォーカスした「改革」を進めても、日本は活性化しないのではないかと考えています。

『タニタの働き方革命』(日本経済新聞出版社刊)では、「日本活性化プロジェクト」という弊社で行っている取り組みについて紹介しています。簡単に説明すると、希望する社員を雇用から契約ベースの関係に転換することで、主体性を発揮できるようにしながら、報酬面でも本人の努力に報いる仕組みです。「タニタ活性化」ではなく「日本活性化プロジェクト」と名付けることで、これまでの『タニタ健康プログラム』(タニタが提供する自治体や企業向けの集団健康づくりパッケージ)と同様に、自社だけでなく他の企業や日本全体の活性化に貢献したい!という切なる願いを込めています。

少し話がそれますが、「心身の健康」と言いますよね。「心身」はなぜ「こころ」が先なのでしょうか。優先順位が高い良いものを先に言うので「心身」。心(こころ)と身(からだ)を反対には書きません。こころの健康に重きを置いていて、日本語は核心をついていると思います。
他の事例では、経営資源を表す「ヒト・モノ・カネ」。人が一番先です。日本語はすごくないですか。最近では「ヒト・モノ・カネ」に「情報」が加わっていますね。「モノ・カネ・ヒト」でもいいし、「カネ・モノ・ヒト」でもよかったかもしれないのですが、「ヒト・モノ・カネ」の順番なのです。「心身」も「ヒト・モノ・カネ」も重要なものを先に言う。よく意味をとらえて表しています。何をお伝えしたかったかと言うと、これまでは弊社ではフィジカルな面にフォーカスしてきましたが、健康は心身が関わるので、こころの健康についても考えるようになったということです。

弊社では「健康経営」に取り組んでいますが、それでも健康を損ねる人やそれを理由に会社を辞める人が出てきていました。内訳を見ていくと、こころの病が原因という場合が数件ありました。他社の例を聞いてみると、1、2割ぐらいに上るとのことでした。2割の影響は大きいので、解消できればと考えるようになりました。現在、国の政策や世の中の流れは、残業を規制する方向で進んでいます。私自身のことを考えてみると、昨日は朝7時には家を出て夜10時に帰宅。十数時間働いています。残業時間だけを考えると、過労死など健康被害の懸念があるレベルです。これが、ベンチャー企業の方々になると私以上に働いています。では、なぜそのように働き続けられるかと考えると、「自分で仕事をしている」と思っているからです。従って、社員に主体性を持ってもらうことが大切で、そのために何ができるかを考え始めました。もともとネガティブな課題の解消を目指して始めたのですが、実際に制度づくりを工夫していくと、最終的には「これこそが、タニタが提供できるこころの健康だ!」と思えるものになりました。この取り組みは社会的に意義があると自負しているので、『タニタの働き方革命』を出版することにしました。時間規制の考え方から離れて、主体性を持って働くことで、心身ともに健やかに働ける仕組みであることを理解いただき、時間にとらわれない働き方の議論が生まれればと思いました。

スポーツで例えてみます。月100時間という練習時間が設定されていたとします。上限に達したらもう帰るルールです。あと少しやれば何か掴めそうな感じがするけれども、今日はもう3時間超えているから続けられない……。それでは成長するはずがないですね。労働時間の規制はこれに近いものがあると考えています。10時間かけている事務作業を効率化して、8時間にすることは出来ると思います。ただ、それでは新しいことを生み出せない。弊社には「バーベルクラブ」というクラブ活動があるのですが、その名誉会長の筋肉増強理論が秀逸です。「筋線維はダメージを受けて切れて、それが治る時に筋線維の増強が繰り返される」と言われて、「なるほど」と思いました。これは仕事にも通じることだと思うのです。自分はここまでしかできないという限界を超えたら次は出来るようになる、少し上限が上がっている、その繰り返しで成長していくわけです。

「社長はいったい、何を言い出すんだ?!」――
タニタ食堂に続く、驚きのチャレンジ!
「会社員」と「フリーランス」のいいとこ取り。
この画期的な新制度導入をめぐる試行錯誤を描いた
迫真のノンフィクション
自由に働く。やりたいことをやりぬく。
それこそが、本当の「健康経営」だ!

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