株式会社プロントコーポレーション
代表取締役社長
竹村 典彦 氏

「明日への創造を生み出すジャンクション」

株式会社プロントコーポレーション
代表取締役社長
竹村 典彦 氏

株式会社プロントコーポレーション 代表取締役社長 竹村 典彦氏

竹村 典彦(たけむら のりひこ)

1958年12月26日生
1981年4月 サントリー入社
2005年4月 代表取締役社長 就任

昼夜問わずに様々なシチュエーションで気軽に入れるプロント。

誰もが一度は利用した経験がある身近なお店だと思います。

そんなプロントコーポレーションは今年で創業30周年を迎えました。

そこで30年間生き残れた経営・人財戦略につきまして、株式会社プロントコーポレーション代表取締役社長の竹村様にお話を伺いました。

ビジネスポリシー ~企業として大事にしていること

家庭と職場を繋ぐ場所であること

創業当時のプロント
創業当時のプロント

我が社には「明日への創造を生み出すジャンクション」という創業当時からの企業理念があります。

都会型のお店が多いプロントは、お客様の多くがビジネスパーソンとなります。そのお客様に対して、家庭と職場を繋ぐ場の提供をしていきたいという思いがあります。

今でこそサードプレイスという言葉がありますが、創業時にはそのような言葉が無い時代でした。プロントは、「明日への創造を生み出すジャンクション」として、常に安らぎを提供していくという理念は当時から変わっておりません。

その安らぎの場所を提供するにあたり、自分達が何をすればいいのか?
それには2つのことが重要だと考えております。

凡事徹底できること

一つ目が、サービス業の基本はお客様の思考、行動を観察しながら行うことだと考えます。
このサービスの基本を当たり前のように凡事徹底できることが非常に大事な事です。

弊社は創業当時から昼はカフェ、夜はバーという二毛作形態のお店を運営しておりますが、プロントの様な形態のお店を他社では簡単に真似をすることが出来ません。

それはなぜか? お店のシステム等の違いもありますが、実は従業員の教育が非常に難しいことが挙げられます。主に昼のカフェ主体のサービスでは対面式サービスとなり、瞬間的な笑顔やサービス感度が必要になってきます。

逆に、夜のフルサービスが求められるレストランでは、お客様が帰られるまで長時間サービスをし続けます。そのため、最初の印象が少し悪くても、お客様が帰られるまでに挽回することも出来ます。これは、ファストフードとレストランではお客様の滞在時間や求めるサービス要求が違うからです。

その為、ファストフードがレストランへと形態を変える事は非常に難しく、また逆にレストランがファストフードの様な形態を変える事も同様に難しいと言えます。

0.5歩先に行くこと

二つ目は「0.5歩先に行くこと」が大事だということです。

凡事徹底という概念に加え、少し先を見据えて「これが面白い」とか「これは珍しい」と感じる事が非常に大切で、お客様を呼び込む重要なポイントになります。

例えば、新メニュー開発などにはその感性がそのまま結果に繋がります。
半年後や一年後に「そうえば、このメニューは以前、プロントで食べたことあるよね」という、お客様の心理に印象を植えつける事が出来れば成功だと思います。

池に石を投げると波紋が出来ますが、その石が商品開発であり、その石をどんどん投げ込むことで広がる波紋が集客だと考えます。弊社では、常に石を投げ続けることが非常に重要だと考えています。

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求める人像

求める人像

カスタマー、スマイル、リレーションシップ

CSR
CSRが学べる小冊子は
アルバイトを含めた全社員が読んでいます

弊社では2つの資質を持つ人財を求めています。

一つ目は真面目な人間です。

人に対する優しさや思いやりといった、気遣いを心から出来る真面目な人が客商売に向いていると考えているからです。

企業の社会的責任「CSR」という言葉がありますが、プロントでは「カスタマー、スマイル、リレーションシップ」に置き換えています。常に笑顔でいられる人は、その人のビジネスキャパシティーを広げられる人財になりうるからです。

2つ目は人と接することが好きで外食が好きな人です。

外食が好きということも重要な要素です。たとえ、家庭で美味しい手料理を用意されていても、外食が好きな人でないと外食のトレンドを学ぶことができません。
お客様が求めているサービスは、実際に流行っているお店で体験しないと感じることができないからです。
プロフェッショナルとしての意識を高く持ち、トレンドを見極める力を日々養うことが重要です。
社員に真面目で外食が好きな人が一人もいなくなってしまったら、プロントに未来はないでしょう。

人材を育てるための開発プログラム

海外研修を積極的に行う

新入社員研修風景@PBSキッチン
新入社員の研修風景

弊社の社員研修は主に新人、中堅、幹部の3つに分かれております。
毎年30名程を選抜した海外研修も実施しております。
地域については、アジア、欧州、北米、南米など世界各国になります。
コーヒーの担当者なら中南米といった豆の産地、店舗開発者であればニューヨークなど世界の最新フードコートを見て、デベロッパーと対等に渡り合える情報や知識などを吸収してもらいます。

そして、食材やメニュー開発者はイタリアへ。
パスタでもイタリアの北と南では多種多様の種類が存在し、地域により食も変わってきます。
それらの事を机上で知っていても、実際に目でみて体感した経験は、後々の成果で大きな差となってきます。
人財のセレクションについては経営陣からの推薦となりますが、できる限りより多くの人財を海外で研修させてあげたいと考えています。
また、技能検定等の取得を奨励しており、今では毎年2、3名はソムリエやコーヒーマイスターの技能検定に合格しています。もちろん、資格取得手当も付けています。
尚、幹部育成についてはサントリーグループと連携して研修を行っています。

外食他社との他流試合

中堅社員向け研修@白州蒸留所
白州蒸留所で行われた中堅社員向け研修

昨年より某ファストフード会社と合同研修を始めました。

他社と共同での研修は私の思い付きから始まったのですが、共に学ぶことで両社が良い刺激になると考えたからです。
このヒントは学生時代の体験が影響しています。

私は奈良県出身ですが、中学時代は地元の塾に通っていました。
田舎の町の塾は皆が知り合いという環境で、学校の延長といった雰囲気で緊張感が全くありませんでした。
その後、奈良市の本格的な塾に通う事になりましたが、そこには灘高校やラ・サール高校を目指す生徒ばかりで驚いたことを覚えています。
常に緊張感がある環境は、私自身のやる気を刺激し、持ち前の負けん気で努力することができました。

この経験から、自己成長には緊張感が大事だと考える様になり、厳しい競争環境が自己成長に役立つと実感したからです。
この研修は今後も実施していきたいと考えています。

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愛されるには理由がある

愛されるには理由がある

プロントで一番のお店

数年前、20年以上もフランチャイジーとして頑張っているお店のオーナーが急逝しました。
私も葬儀に参列させていただきましたが、お通夜の際、ふと見渡すと20年前の元アルバイトの方が参列していました。
それこそ、代々のアルバイトの方達が行列となって並んでいたのです。本当に感動して涙が溢れる出来事でした。
また、このお店の凄いところは、近くにある同業者が忘年会の会場として利用している事からも分かります。
大変サービスの良いお店だから、ライバルという概念も超越して客として忘年会で利用しているのです。
これほど愛される秘訣は何なのか?と思うことでしょう。

このお店ではアルバイトを含めた従業員全員で、お客様やお店について気がついたことを詳細にノートに書き留めています。
朝番から昼番に、昼番から夜番にノートを引継いで報・連・相しています。
代々、受け継がれ、今ではノートが何十冊にもなっているそうです。
まさに凡事徹底ということでしょう。

この出来事は、お客様・従業員に対するオーナーの深い愛情の結果だと私自身感動したエピソードとして心に刻んでおります。

基本の反復と努力の積み重ねが重要

愛される理由
コーヒーの味も時代と共に変化していく

プロントは今年で30周年を迎えましたが、同じ業態で30年間継続しているお店は日本中でも珍しいと思います。
思い出して頂くとわかりますが、30年前に流行ったチェーン店、特に居酒屋などで今も残っているお店は少ないはずです。
たとえ残っていても、名前を変えていたり業態が変わっていたりしています。

ファストフードも同様でしょう。色々なお店が出来ては消えていきました。残っているのはM社やK社、喫茶店ではビッグネームに限られます。
我が社は、結構しぶとく生き残っている訳です。
しぶとさの理由は、リバイタライズしながら0.5歩先を進んでいるからです。
リバイタイラズにはコストと時間が掛かりますが、惜しんではいけないと考えています。
短期的な収益だけを追い求めずに、継続的な成長を追及するには教育が最も大切なことだと思います。
弊社では常時6,500~6,600人のアルバイトさんを雇用し、このうち2,000人は毎年入れ替わってしまいます。
その為、常に教育する仕組みが必要となります。私は外食産業こそ教育ビジネスだと考えており、本部では教育を重要な仕事と位置づけております。

人間の嗜好は時代と共に変わります。
30年前と今ではコーヒーの味も変わっています。
深煎りが流行っている時代もあれば、逆に浅煎りが流行る時代もありました。
不変の部分も残しながら、時代のニーズにマッチしていかなければなりません。
そのため、常にリバイタライズを怠らないよう心掛けています。

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ビジネスパーソンに一言

ビジネスパーソンに一言

最後は笑おうぜ

~人生について~
年代や世代で考え方もいろいろあると思いますが、私自身は人生の最後に笑える時を迎えたいと思っており、人生の最後に笑うためにはいかに人生を楽しめたか?のプロセスが大切だと考えています。

結局、いくらお金を稼いでも、あの世には持って行けませんから。

自分を支えてくれた家族や友人、経営者なら社員への愛情、多くの人に愛情をかける事で、最後は笑える人生になると私は信じています。

~仕事について~
仕事は手を抜いたら如実に数字に表れます。逆に一生懸命に打ち込めば結果は必ず良くなります。こつこつ真面目に凡事徹底する事が、ビジネスで成功する秘訣だと思います。

ホームラン狙わずにヒットを積み重ねれば点は入るのですから。

■取材チームからの一言

plovegreen
P LOVE GREENマークを見つけてみよう!

竹村社長のインタビュー後、そういえば学生時代によく行った居酒屋(チェーン)を最近、まったく見かけなくなった事に気づきました。

当時、あれほど流行っていたにもかかわらず、時代とともに淘汰されていることに驚いたと同時にプロント社の凄さも改めて感じました。

なぜなら、M社やK社といったファストフード店は、TVCMに加え、様々な媒体で広告を展開しています。

ところが、プロント社の広告はほぼ目にした事がありません。

広告に頼らず30年間生き残れた秘訣は、プロント社の理念浸透と愛のある教育を凡事徹底することで、常に高水準の顧客満足度を維持できているからこそと強く感じました。

最後に、プロント社は「プロント・ラブ・グリーン」キャンペーンとして、商品売上の一部を義援金として被災地へ寄付しています。

プロントのメニュー内に緑色のP LOVE GREENマークが付いている商品が寄付金対象商品になります。

メニュー選びに迷った際には、緑マークの事を思い出してから注文してはいかがでしょうか。

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